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超解像顕微鏡を用いたボルナ病ウイルス核内複製場の微細構造の解明

平井悠哉1,2、平野泰弘3、松田厚志3,4、平岡泰3,4、本田知之2,5、朝長啓造2

(1大阪歯科大学・生物学教室, 2京都大学ウイルス・再生医科学研究所, 3大阪大学大学院・生命機能研究科, 4情報通信機構・未来ITC研究所, 5大阪大学大学院・医学系研究科)

"Borna Disease Virus Assembles Porous Cage-like Viral Factories in the Nucleus."

J Biol. Chem. 291:25789-25798. (2016) doi:10.1074/jbc.M116.746396


【概要】
RNA ウイルスは,感染細胞に viral factory と呼ばれる構造体を形成することが知られています。 しかし,そのような構造体がどのように形成されるのかについてはほとんど明らかにされていませんでした。
 本研究では,ボルナ病ウイルス(BDV)が宿主細胞の核内に形成する構造体である vSPOTs の構造を,超解像顕微鏡を用いて解析しました。 超解像顕微鏡法の一つである SIM による解析から,RNP のコアタンパク質であるヌクレオプロテインが vSPOTs においてメッシュ状の外殻を形成している一方,RNP の構成要素であるホスホプロテインや他のウイルスタンパク質は,vSPOTs の内部で網の目状に局在していることが明らかになりました。 また別の超解像顕微鏡法である STORM により,RNP がフィラメント状の構造体として vSPOTs の外殻から突出していることが観察されました。 さらに,vSPOTs は細胞分裂期における核膜の崩壊とともにその構造を RNP に分散させ, RNP の個々の構成要素は分裂期染色体上で近傍に位置することが明らかになりました。 今後,vSPOTs において異なる位置に存在する RNP のそれぞれの機能解析を行うことで,viral factory における微細領域の役割の詳細が解き明かされ,ひいては RNA ウイルスの整然とした感染メカニズムの詳細が明らかにされることが期待されます。




上図)SIM によって明らかにされた,vSPOTs におけるヌクレオプロテインおよびホスホプロテインの詳細な局在。 ヌクレオプロテインが vSPOTs の外殻を形成しているのが分かる。
下図)STORM により観察された,vSPOTs の微細構造。フィラメント状の RNP が突出しているのが分かる。